クラウド?NAS?データの保存とバックアップについて考える

ベストなデータの保存方法とは

Web制作の仕事柄、お客様のデータをお預かりすることが多いです。種類としては画像データが大半を占め、他にはPDFやエクセル・ワードなどの書類などがちらほら。預かったデータはまた活用する機会がありそうなので、ボツになった(ホームページで使われなかった)データも含め、全て保存しています。

昔はFDDやMOでせっせと保存していましたが、時代と共に記憶媒体もCDやDVDに移り替りました。そしてデータは年々増え続け、今後は高画素の画像データや動画などの大容量データが増えることが予想されます。そこでいま一度データの保存・運用方法について考えてみました。私の場合のベストですので万人に向いているわけではないのですが、ご参考になれば幸いです。

クラウド?NAS?

大事なデータであるなら、最低限データそのものとバックアップ(複製)の2つが必要です。私の場合はデータをNAS(またはサーバ)に置き、クラウドでバックアップを取るのがベストだと考えます。理由としては下記の通り。

  1. NASを2台使ってデータとバックアップとするのは不安です。落雷で同時に壊れたり、万一、火事になった場合を考えると別媒体かつ別の場所でデータを保存したい。
  2. クラウドを2つ契約して運用しようとするのも考えものです。ソフトを使ってクラウドのデータを外付けHDDのようにマウントしての利用もできますが、速度面や安定性でどうしてもイマイチでした。マウント用のソフトはクラウドが提供しているものも含め、CarotDAV、ACD Dokan.NETなどを試しましたが、有料のExpanDriveあたりを奮発すると安定するのかなあ。
  3. やはり直接いじるデータはNASに置くのが一番便利。サクッと書類を開いて修正し、そのまま保存。そして毎日深夜、自動転送でクラウドにバックアップを作る。これが一番使いやすいです。

NASを選ぶ

予算やデータ容量を検討した上で、使い勝手に応じたNAS本体や内蔵HDDを選びます。メーカーでいうとQNAPは昔から定評があります。ReadyNASはお客様3件にセットアップして納品しましたが、いずれも3年以上安定稼働しており、筐体もしっかりとした良い機材です。ここ最近はSynologyのが多機能かつ高性能で人気があります。安価なモデルはやや筐体が安っぽいのですが、いま導入するのであればこれがオススメです。HDDはやはりNAS用のものを使うのが安心ですね。私がいつも使うのはWD Red (Western Digital社の赤ラベルのもの)です。

クラウドを選ぶ

ここ数年でクラウドサービスを提供する会社が増えました。なお、クラウドといっても色々なサービスがありますので、ここでは”オンラインストレージ”と言ったほうが正確ですね。選定において私が重視したのは下記の2点です。

  1. よく社名を見かけるような大手の会社であること。
    (大手会社なら急に無くなったりはしないはず)
  2. 無料でなくても構わないが、手頃な価格と容量であること。
    (むしろ有料サービスの方が安定して長続きしそうに思います)

この手のサービスを選ぶのはなかなか難しいです。まだ業界自体が安定期に入っていないせいか、価格や容量などの規約が急に変わったり、サービス自体が廃止になるケースをよく目にします。大事なデータを預ける事になるので、慎重に選びたいところです。候補になりそうなのは下記の通り。

  • DropBox 1TBで12,000円/年
    悪くないと思う。
  • Googleドライブ 1TBで15,600円/年
    悪くないと思う。ただしGoogleフォトはちゃんと設定しないと画像が圧縮されてしまうので注意。
  • Amazon Cloud Drive(US版) 無制限で59.99USD(約6,800円/年)
    容量無制限が6,800円/年とたいへん魅力的で、昨年使っていました。やめた理由はネットで「規約違反」(アメリカに住んでないから)として、いきなりアカウント停止・データ削除をされた人を見かけたから。この人の場合はデータ容量や転送量で目をつけられたと思うのですが、さすがに使い続けるのが怖くなりました。
  • Amazon Cloud Drive(日本版) 無制限で13,800円/年
    上記の理由で一時はUS版から日本版のサービスに移ったのですが、以下の規約が気になって結局やめました。はたして、私の使い方は”非商業的な目的”になるのでしょうか…。

    1.2 本サービスにおけるお客様ファイルの利用 お客様は、アマゾンが提供する機能を使用して個人的および非商業的な目的でお客様ファイルを保管、検索、管理およびお客様ファイルへアクセスするためにのみ、本サービスを利用することができます。

  • OneDrive 1TBで6,480円/年、5TBで15,480円/年
    悪くないと思いますが、これを選ぶなら絶対にOffice 365 Solo もしくはOffice 365 Business を選んだほうが良いです、その理由は次のブログで書きます。
    私はいまOffice 365 Business を使っています。
    難点としては、ファイル文字数の制限やファイルの拡張子の制限(.aspや.jsonが使えないのはWeb関連の事業者としてはかなり痛い)が多いので、やや使いずらいです。

クラウドに関しては速度面などの問題もあり、実際に試さないとわからない点も多いのですが、だいたい上記の5社なら大きな問題はなさそうに思います。万一トラブルに遭遇しても元のデータ(NAS)さえ無事であれば別のクラウドに乗り換えできますし。

そうそう、乗り換えの際には Multi Cloud を使うとクラウド間同士でのデータ移動ができるので便利でした。多分いま使っているOffice 365も、近々別のサービスに移る事になると思いますが、こうしてクラウド間を転々と渡り歩く人も多そうですね。自分の使い勝手にあったクラウドを見つけるのは、なかなか難しいものです。